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355 大常木山1 2005年5月15日(日) 奥秩父 管理人の記録
コースタイム 三ノ瀬→1:00→ムジナの巣→1:40→シナノキのタル→1:10→
会所→1:50→岩岳尾根→1:00→前飛竜→0:40→
飛竜権現→0:05→ハゲ岩→1:15→大常木山→0:50→
竜喰山→1:15→将監峠→0:10→牛王院平→1:20→三ノ瀬
合計歩行時間 12:15
往路時刻 池袋5:10→代々木5:21 5:23→八王子6:15 6:34→
塩山7:51 タクシー→三之瀬9:00
復路時刻 三之瀬→タクシー2時間→塩山
名 山 なし
交通費 合計23,780円  池袋⇒塩山1,890円 
塩山⇒三之瀬タクシー10,000円 三之瀬タクシー⇒塩山10,000円
塩山⇒池袋1,890円
ガイドブック なし



うわあ〜!助けて〜!
崩壊地点では登山道がザレの中に消えていた。
そこに足を踏み入れると僕は谷底へ吸い込まれそうになる。
GWの奥穂高岳とは異質の恐怖を知った時、僕は生きていることを実感した。
ザレに張り付いて身動きの取れない僕に、上から手が伸びてきた。
ケイン・コスギが助けにきたのだろうか?
ファイト〜!
いっぱ〜つ!

ほんの数日前のことだ。
ネット仲間の峰さんからメールが届いていた。
大常木林道を歩きましょうとのこと。
「大常木林道?」
僕はすぐに頭を傾げた。
komadoさんの掲示板によると、kandaさんが4/30に歩かれたらしいことが分かった。
どうやら大常木林道はハシカキのタルからムジナの巣までの道で、途中崩壊箇所もあるらしい。
林道というからには、あまり上下せずに、尾根や谷を越える道なのだろう。
エアリアマップには示されていなかったが、ハシカキのタルから大常木谷、シナノキのタル、井戸沢、ムジナの巣をできるだけ水平に指でなぞってみた。
「う〜んこりゃあかなりの距離があるなあ」
「それにエアリアにも載ってない道だから藪もあるかも?」

4時に起床して、納豆ご飯を食べ、コンビニでいつもより多めに食料を買い込んだ。
奥多摩駅に6:44に着く電車は早朝のためか、登山者の姿は少なく4,5人だ。
一番に改札を抜けると、峰さんが出迎えてくれた。
今日は雨じゃなくて一安心。
懐かしいZARDの曲をBGMに車は三ノ瀬へと向かう。
三ノ瀬から砂利道の登山道に入るが、いきなりタチツボスミレとミヤマキケンが咲いているので、峰さんには待ってもらい、撮影タ〜イム!
沿道にはタチツボスミレが多く、林床が一面紫になっているところもある。
「これだけ咲いてるとありがたみがなくなるね」
峰さんがエイザンスミレを発見。
数株しかないので、ここでも貴重な存在のようだ。
通いなれた林道は緩やかに登って行く。
峰さんのペースは速めなので、最後までついて行けるか不安になってしまう。
出発した時に「おてやわらかに…」と言われたが、僕が言えば良かったなあと思った。
七ツ石尾根が分かれる牛王院下を過ぎると、指導標は無いが右にこんもりしたピークが見え、そこへ笹の中の道が続いている。
ミノワの頭への道で、後ろ髪引かれる思いがしたが、帰りに寄れたら寄ろうということになった。
何しろ今日は、目的地が大常木林道というだけで、どこの山に登るのかはっきりしていないのだ。
どこの山にも登らなかったらどうしよう?
山日記として、HPに載せるためにはどこかの山に登りたかった。
目的の山がはっきりしていない山行は初めてのような気がする。
沢と尾根をいくつか越えるが、ムジナの巣はなかなか見えてこない。
kandaさんの情報よると、ムジナの巣の近くに大常木林道への入口があるらしいのだが、僕はそんな分岐を全然覚えていなかった。
峰さんはここを歩いたのはかなり昔で、ムジナの巣という水場があったかどうか、記憶に無いそうだ。
こりゃあ責任重大だぞ〜!
なかなかムジナの巣が出てこないので不安になったが、先を行く峰さんがムジナの巣を発見する。
ムジナとは、狸などのケモノの巣穴のことらしい。
僕はてっきり妖怪の名前かと思っていたので、怖くてそこの水を飲んだことが無かった。
これからは安心して水が飲めそう。
さてムジナの巣から大常木林道の入口を探すが、見つからない。
いくつか作業道のようなものを見つけるが、そこまでは崖を下らなくては行けない。
「もう少し行ってみようか」
正解である。

ムジナの巣から少し行った左に曲がる場所で分岐を発見する。
「どうやらこれだろう」
僕らは、大常木林道入口を発見して喜んだが、すぐに冷静になった。
ここからが始まりで、この先どんな危険が待ち受けているか分からないからだ。
それに雲の様子も気になる。
ムジナの巣 大常木林道入口
道は背丈ほどの笹に囲まれた道だが、幅広く良く手入れされている感じ。
「な〜んだ!以外に歩きやすい道じゃん」
藪漕ぎを想像していた僕は拍子抜けした。
しかし峰さんは「まだまだ、これからだよ」と言う。
僕はとたんに口をつぐんでしまった。
新緑は葉っぱが雨に濡れた感じで、濃い緑色を出している。
それに苔むした巨岩。
たくさん人の入る奥秩父主脈縦走路よりも奥秩父らしい雰囲気に包まれている。
ダテノ沢、井戸沢を越えると、通行禁止のバリケードが目に飛び込んでくる。
僕一人なら尻込みして、回れ右だが今日は峰さんが一緒だ。
何事もなかったかのように、とおせんぼしている木の下をくぐる。
苔むした巨岩群 通行禁止の看板
はたしてこの判断は正しかったのか?
雨が振り出し、僕は傘を差しザックカバーも付ける。
沢と新緑の尾根をいくつか越えると、ドバーン!
と絶望的な光景が目に入る。
「え〜?無理ジャン?」
ついに出た〜という感じだった。
崖崩れの先に登山道が続いていたがあそこまでどうやって行けというのだろう。
峰さんは職人のように、飛んで行く。
しかし足元が崩れて、ガラガラと音を立てて土砂が流れていった。
峰さんはうまく体制を立て直して、安全な場所まで辿るつくことができた。
こういう道は慣れているのだろうか?
崩壊地点その1
僕は峰さんの指示で下からのルートを探す。
涸れ沢を下り、適当に登れそうな斜面を探す。
崩れやすい斜面を慎重に四つんばいで登ると、上からロープが投げられた。
僕はそれにつかまり、少しずつ登る。
峰さんが引っ張るロープは力強く感じられ、信頼できるものだった。
どうにかこうにか、最初の難所をクリア。
振り返るととても帰りには使いたくない道に思えた。
僕は下から回り込んだ 崩壊地点を振り返って見る
新緑は相変わらず素晴らしく、これが大常木林道の良さだと実感した。
いくつも越える涸れ沢はそれぞれに味があり、どれも下や上に行ってみたくなった。
特に苔むした涸れ沢と新緑の組み合わせは、今まで見たことの無い光景で僕らの目を釘付けにした。
大常木林道は新緑がとてもきれい
道はしだいに細くなるが、しっかりしている。
苔だらけになった巨木やいくつもの倒木は、あまり人が踏み込んでいないことの証に思える。
倒木には上を越えられるように、欠いてあった。
上を越えられない倒木は下をくぐった。
苔だらけの巨木 倒木が多い
急なアップダウンが無いまま、モリ尾根と交差するシナノキのタルに到着。
kandaさんは、ここからモリ尾根へ入ったようだが、深い笹藪に包まれていた。
う〜んすごい!
僕らはここで昼食にした。
峰さんは看板になにやら落書きをしたようである。
見ると僕らの名前が書いてあった。

ここからは下り道だが多少道が悪くなる。
シナノキのタルから来た道を振り返る 新緑の中を下る
涸れ沢を渡る場所では、橋が落ちていたので、涸れ沢の上流のほうを歩いた。
そして、二本の丸太だけの橋…。
峰さんはうまくバランスをとって渡って行くが、高所恐怖症の僕はそんな芸当はできない。
四つんばいになり、少しずつ進む。
真ん中まで来ると、橋がミシミシいい始める。
「ヒ〜〜〜!」
橋が崩れて落ちたらどうしよう?
峰さんが何か言うが耳に入らない。
冗談じゃなくやべ〜ぞ!
使えない橋 一番怖かった橋
さらに進むと第三の難所が出現!
橋の無いザレ場だ〜!
峰さんは、足元をザラザラ崩しながらジャンプして対岸へ渡ってしまう。
まるで忍者のようだった。
いや〜俺にはマネできね〜な。
僕はそ〜っと一歩ずつ足を前に出す。
足を蹴ってザレ場に切り込みを入れ足場を作りながら進むが、半分まで来たところで足元がザザザ…っと音を立てて崩れ始めた。
アリ地獄に吸い込まれる〜。

うわあ〜!助けて〜!
ザレ場に張り付くようにすると止まったが、身動きできなくなってしまった。
足に力を入れれば、足元が崩れるし手でつかむような岩は無くどれも浮石ばかりだった。
やべ〜な。

すると上から手が伸びてきた。
僕はその手をがっちりつかむと、少しずつ前に進むことができた。
足元は何度も崩れたが、その手のおかげでなんとか無事に通過することができた。
ひゃ〜今のはやばかったなあ。

呼吸を整えてさらに下って行く。
峰さんはどんどんと加速して下っていく。
沢の手前が平になっている場所は会所跡といって、昔小屋があったそうだ。
今は石垣だけが残っている。
「こんな山奥で生活している人がいたんだなあ」と感心してしまう。
崩壊地点その2 会所跡
沢を渡ると、ますます道が不明瞭になってくる。
僕は道を見失ったが、峰さんは少し上流のほうに道を見つけたようだ。
ここら辺が経験の差なのだろう。
ハゲ岩へと続く尾根に乗り、しばらく歩きやすい道を下るが、左の沢へ下る道が無い。
峰さんは、適当な藪の薄いところを見つけて沢に下り始めた。
「とにかくあの沢に行けばなにか分かるはずだ…」
この時までは僕もそれを信じていた。
「そうだきっとあの沢に下れば何かあるはず…」
薄い踏み跡をたどる ハゲ岩からの尾根を下る
少しの間だったが、久しぶりの藪を体験する。
笹につかまりながら急斜面を下ると、大常木谷の右の支流に出た。
峰さんは、大常木林道を探すが「上流まで探して無かったら下流を探そう」と言って歩き始めた。
うわ〜ひょっとして迷った?
でも、上流まで探して無かったら下流を探そうという峰さんの言葉には納得した。
豊富な経験に裏付けられたようなその言葉は僕を安心させた。
もし僕一人だけなら、ここでパニックになっていただろう。
とにかく峰さんがいて心強い。
今日最初の藪に突入! 沢に出て、上流へ
右手を注意して見ながら上流へと進んで行くが、岩肌の見える崖になっていて、大常木林道らしきものは見当たらない。
雨は強く降り出した。
こんな時僕はとても不安になる。
そして僕らの会話も少なくなった。
右に沢が分かれる場所で、峰さんは地図を出して現在地を確認する。
僕は上流を見て右手に見える尾根を指差して「あの尾根登ってみましょうか?」と提案する。
峰さんはそれに同意した様子で、右の沢を少し登る。
そして、急斜面と藪の中を登ると、「道があったぞ〜」と峰さんの声。
「やった〜」と僕は声に出して叫ぶと、心の中が落ち着いた。
大常木谷支流から岩岳尾根へと続く尾根を僕らは登り始めた。
右に大常木林道と思われる踏み跡がいくつか分かれたが、kandaさんのカキコによればこの先も崩壊しているという話だし、僕らは歩きやすいこの名も無い尾根を登ることにした。
急斜面で、木が体に絡まったりして歩きにくかったが、尾根筋を外さなければ、岩岳尾根にたどり着けるという安心からか、自然と足が前に出た。
しばらく登ると、峰さんがシャクナゲを発見する。
「ええ〜?もう咲いてるの?」

登れば登るほど、シャクナゲが増えてくる。
荒れた尾根を登る シャクナゲがきれいだった
いったいどうなってるんだ〜?
人知れず、僕らが迷わなければ、発見されることも無かったシャクナゲ…。
いったいこの花々は誰のために咲いているのだろう?
そんなことを考えさせられる。

そして足元にはイワウチワがあちこちにポツポツと咲いている。
こりゃあ上も下も忙しいなあ。
僕は橋が崩れそうで怖かったことや、崩壊地で落ちそうになったことや、道に迷ったことをすっかり忘れてしまった。
「こりゃあすげえや!」
シャクナゲの藪を掻き分けて〜。
ん〜〜なんて幸せなんだろう。
怪我の功名とはこのことだね。

土の匂いや苔の匂いを嗅ぎながら倒木や藪の道が続く。
おまけに急斜面なので、かなり体力を消耗してしまう。
大きな岩のところで、峰さんはその岩に登るが展望は無かったそうだ。
僕はそれを聞いて、右の迂回路を進む。
崩壊地で峰さんと一緒になったが、石がガラガラと崩れていくような場所だった。
僕はできるだけ下を見ないように、登り始めた。
ガラガラガラ…。
足元が突然崩れ出した。
とっさに石をつかもうとすると、「それ浮石だよ〜」と言われる。
手をかけるとグラグラとした。
ひゃ〜危ない危ない。
木をつかむが木も腐っている木が多く、つかむとどれもパキっと折れた。
いったいどうすりゃいいんだ?
安定した細い木を慎重に選んでつかみながら登った。
シャクナゲのトンネル 崩壊地点その3
まもなく白い空が見えてきて、この石楠花の尾根も終わりが近付いていた。
「着いたよ〜」と峰さんが叫ぶ。
岩岳尾根はしっかりした登山道が走っている尾根だった。
「やった〜登山道だ〜」
僕らが飛び出した場所は、岩岳尾根のハシカキのタルと前飛竜のほぼ中間だった。

「ハシカキのタルへ行くのはやめて、ハゲ岩へ行こう!」と峰さんが言う。
僕は内心ホッとした。
ハシカキのタルから大常木林道を戻る気力も体力無かったからである。

岩岳尾根もシャクナゲが咲いていたが、さっきの尾根と比べると見劣りがする。
道はしっかりしているがアップダウンがいくつもありきつい。
岩岳尾根からシャクナゲの尾根を見下ろす 岩岳尾根
栗山尾根分岐で僕らは休むことにしたが、峰さんは前飛竜へ行こうと言い出す。
「ええ?なんで?」
僕は疲れていたのか、今の現在地をすっかり勘違いしていたのだ。
僕の想像では、大常木山の少し下あたりで、もう少しで奥秩父主脈縦走路に出て帰れると思っていたが、地図で確認すると、前飛竜の南なので唖然とした。
うわあ!ずいぶん遠くまできちゃったなあ。
こりゃあ疲れるはずだわ!

しばらく登ると、針金のバリケードをくぐり、丹波からのミサカ尾根に合流した。
なんだか懐かしいなあ。
フフフ…。
ここからは勝手知ったる道よ〜。
「俺について来い!」
みたいな感じで歩き始めるが、いきなり道を間違える。
「かずさんどうしたの?」
「あれ?道が無い」
「こっちだよ?」
「ありゃ?」
僕はそうとう疲れていた。
栗山尾根分岐 丹波からのミサカ尾根に合流
2003年5月末に来た時もやっぱり雨だったが、シャクナゲがたくさん咲いていた。
今年は外れなのか、まだ早いのかほとんど咲いていなかった。
やっぱりあの尾根は最高だったなあ。
飛竜権現を過ぎ、ハゲ岩に出るとタイミング良く青空が見えてきた。
完全ではないが3回目にしてやっと、周りの景色が見えた。
流れて行く雲は早く、南アルプスにでもいるような気分になってしまう。
僕は子供のようにはしゃいだ。
飛竜権現 ハゲ岩で待望の青空が…
大常木谷を見下ろすとさっきまであそこにいたのが信じられないくらい下に見えた。
いつかは大常木谷から直接ハゲ岩まで登りたい…。

再び雲が出てきたので、僕らは歩き出した。
奥秩父というと僕は霧や雨の思い出しかない。
今回もそうなってしまった。
しかし、苔むした岩やバイカオウレンが奥秩父らしい雰囲気を出している。
霧の奥秩父でいいじゃないか〜。
大常木谷を見下ろす 苔むした岩場の雰囲気が良い
僕はこの道を2回ともテントで登っているので、今回は荷物が軽いので楽しい。
背の低い笹原に出ると大ダルに出た。
う〜ん奥秩父〜 背の低い笹は大歓迎
この背の低い笹原も奥秩父の雰囲気たっぷり。
「あの時は雨の中ここでパン食ったよなあ」とか苦しかった時の思い出がよみがえる。
大常木山に思いを馳せつつ、奥秩父主脈縦走路を進んで行く。
大ダル ヤマザクラの脇を通る
「いつか峰さんに大常木山と竜喰山を案内してもらおうっと」と独り言。
峰さんはニヤリとして、後ろを振り向くと、「このガレ場を登ってみようか?」と言う。
スタスタとガレ場を登って行ってしまった。
まあこの際だから登ってみよっか?
という軽いノリでついて行く。
しかし、ガレ場はガレ場なわけで、足元の岩がガラガラと音を立てて崩れていった。
落石!
下に誰もいなくて良かった〜。
笹藪に入り、また左のガレ場に出る。
けっこう急で、不安になるがここまで来たら登るしかない。
「落石!」
と上から声がして見上げるとコブシ大の石が転がってくる。
僕の頭上で停止して一安心。
僕も石を落としながら登っていく。
笹藪に入り、笹をつかみながら急斜面を登ると、尾根に出て薄い踏み跡があった。
大常木山は看板も指導標も無く、山頂かどうか確証が持てなかったが、僕は大常木林道、大常木谷、大常木山を歩いたことに一応満足した。
大常木ばっかりだ〜。
ガレ場から道なき道へ 大常木山山頂
大常木山からは背丈は低いが笹の深い藪となった。
時々道を見失い、泳ぐように笹を掻き分ける。
あ〜もう藪はやだよ〜。

「イテ〜」
よそ見していると、笹に隠れた倒木につまづくのである。
笹藪を行く 岩岳尾根が見える
道はだいたい、尾根の南側に付けられていて、時々出てくる岩場や小ピークは巻いている。
しかし、竜喰山まで巻かれてはたまらない。
できるだけ尾根の上を歩くようにこころがける。
藪を掻き分け、ようやく竜喰山に着いた。
本日の目的地!ここまでくればあとは下るだけ。
三角点でニッコリ記念写真。
笹藪が深くなる やっと竜喰山に到着
(違うらしい)
山頂からは踏み跡がはっきりし、藪もなくなる。
しかし、しばらく下って小ピークを越えると道を見失ってしまった。
「秩父湖に出たらどうしよう?」
という恐怖心が、体を左へ左へと向かわせたからだ。
こんな時はコンパスが欲しい。
急斜面の笹藪の下りなので、時々足を取られて滑った。
滑ると足に変な力が加わり体力を消耗する。
そしていつしか峰さんも見失う。
やべ〜迷った?
「あれ?」
と声を出すと、笹藪の中から峰さんが出現した。

「今人が歩いて行ったよ」
「うそ〜」
僕は信じられなかったが、まもなく奥秩父主脈縦走路に出た。
ふ〜やれやれだね。
ここからは、普通の登山道。
道の無い笹藪を下った 奥秩父主脈縦走路に合流
進んで行くと、橋があったので、将監峠からかなり飛竜山寄りに出てしまったことが分かった。
やっぱり藪の中は迷いやすいなあ。
気持ちのいい将監峠を過ぎ、牛王院平へと向かう。
「いつか尾根通しで竜喰山を越えたいね」
「今度は晴れた日がいいな」

僕らの話題は「あの山は本当に竜喰山だったのか?」ということばかりになった。
記念写真を撮った山が竜喰山じゃないと困る〜。
将監峠 リンノ峰
T.Yuiさんの牛王院平の看板を見つけて、僕らは休むことにした。
竜喰山をじっくり眺めながら、「僕らはあの尾根を下って来たから…」
「あの笹と樹林の境界を歩いたよね」などと話しながら、竜喰山を確かに登ったことを地図で確認した。

「かずさんもT.Yuiさんみたいに、作れば?」
「僕はHP作りで忙しいです〜」

食料も水もすっからかんになった僕は、非常用のアミノ酸飲料を飲んだ。
ここからは目をつぶっても歩けるし、日があるうちに下れそう。
そう思うと気持ちが軽くなり、今までの苦労をすっかり忘れてしまった。
とにかくあの石楠花の尾根は、今日一番の成果だったと思う。
牛王院平から竜喰山を眺める 七ツ石尾根を下る
帰りは七ツ石尾根を下る。
次の週末、他のネットの人たちと大常木林道を歩くのに誘われたが、僕は気力も体力も消耗しきっていたので、お休みすることにした。
登り始めの時は行く気満々だったんだけれどね。
とにかく、それくらい疲れた〜。
それで僕は「今度は藪の無い道を歩きましょう!」と約束して帰った。

久しぶりの藪に、シャクナゲ…。
怖い思いもしたけれど、普通の登山道に飽きてしまった僕にとっては刺激的でスリリングな山歩きとなった。同行してくれた峰さんありがとうございます。