青春編

第八話 ケシカス

登場人物紹介 首都高速用語解説

前回までのあらすじ…。
チェック柄のカンペンケースをきっかけにトミタと仲良くなりました。
そのうち、クラスでは「レポート用紙のかず」とか「なんでも屋のかず」と呼ばれるようになりました。

青春編とは…?
学生時代のことについて書いていきます。

1985年
ある日の休み時間、ボーっとしていたら僕の斜め前のトクダが机を倒して中の物を全部出してしまった。
周りの女子は片付けを手伝うが僕は無視していた。
僕は女に媚を売っていると思われるのがいやだったし、あの子に変な誤解をされたくなかったからだ。
「ちょっと〜見てるだけじゃなくて、手伝って欲しいんですけど!」
トミタと同じくらい気の強い女子のスドウに睨まれてしまった。
こうなると、冷たい男と思われるのも嫌なので、しかたなく手伝うことにした。
「は〜い、分かりました。なんでもやりますよ〜」
僕はトミタやオオシマたちと、散らばった教科書などを片付け始めた。
「あら?かずくんて意外とやさしい?」
「今頃気づいたの?」
みんなでゲラゲラと大笑いした。

授業中、後頭部に何か当るので後ろのフジタに「何?」と振り返って聞く。
ところがフジタは「俺、知らないよ」とオドオドしている。
変な奴!と思いながら首を傾げて、前を向いた。
先生の話を聞いていると、また後頭部に何かが当る。
髪の毛に引っかかっていたのを取ってみると消しゴムのカスだった。
僕は授業中にもかかわらず、後ろを振り向き「オイ!フジタ!何すんだよ〜」
と怒った。
フジタは「違うよ〜俺じゃねえよ」と言って「アイツ、アイツ」と小声で後ろに指をさす。
その指の先にはスドウが座っていて、机の上にはケシカスがいっぱい散らばっていた。
犯人はスドウ?
俺、あいつに恨まれるようなことしたかなあ?
スドウと目が合うと、スドウは慌てて勉強しているフリをして、机の上のケシカスを全部、床に払い落とした。
気の強いスドウに口で勝てる訳がないので、僕はスドウに何も言えなかった。
もしかして、スドウは俺のこと好きなのだろうか?
最近の俺ってなんだかモテルなあと思うと、顔がニヤケテしまう。
「何、ニヤニヤしてんだよ〜気持わりいなあ」
と転校してきたばかりのタチバナに言われ、僕は慌ててキュッと引き締まった顔に戻すのだった。

キュッ!

上板橋の交番の前を歩いていると、いつの間にか女のことを考えていて、ニヤケテしまう。お巡りさんと目が合い、「いかん、いかん男子たるものスケベな想像をしてはいかんのだ〜」と自分に言い聞かせた。
スケベな想像をしている自分が嫌いになった。
あの子に対してとても失礼な態度だし、純潔なイメージが壊れないよう努力しなければいけないと思った。
今思えばこれが思春期というやつだったのだろう。
スケベな悪魔と純潔な天使が時々喧嘩していた。

次回予告
あの子はまたしてもびっくりするような行動をします。
僕はますますあの子の世界にハマっていきます。
第九話 変質的なアイ