青春編

第七話 なんでも屋

登場人物紹介 首都高速用語解説

前回までのあらすじ…。
ちょっと気の強い女子のトミタに言い寄られ、困ってしまう。

青春編とは…?
学生時代のことについて書いていきます。

1985年
3年前のチェッカーズの登場以来、彼らのファッションが中高生に浸透しつつあったが、最近は文房具にまで影響を及ぼし始めていた。
女子はチェック柄のハンカチを見せ合い、「かわいい〜」と言っている。
「へえ〜あんなのがかわいいのか」
休みの日に僕は池袋東武デパートへ出かけた。
女の子たちで賑わうファンシーショップがあったので、ちょっと覗いてみる。
周りは女だらけでちょっと恥ずかしい。
真っ赤になりながら、面白いものはないかと物色していると、チェック柄のカンペンケースが目に入る。消しゴムやシャーペンもおそろいのものがあった。
ドキッドキッと心臓の鼓動が早くなるのが分かる。
僕はそれらを鷲づかみにして、レジへ持って行った。
「ふう〜」
店の外に出ると、空気がおいしく感じた。
緊張したな〜。疲れた…。

翌日それらを学校へ持って行き、机の上に置いてボーっとする。
「へえ〜お前かわいいの持ってんじゃん!見せてよ」
トミタは僕の返事も聞かずに取り上げた。
「トクダ〜見て見て〜、これ〜かずくんが持ってたんだよ〜」
「へえ〜、けっこうオシャレなの持ってんじゃん」
キーンコーンカーンコーン。
授業が始まっても、トミタはカンペンを返してくれない。
おい!早く返してくれないとノートとれないじゃんかよ〜。
授業中にもかかわらず後ろから最前列まで僕のカンペンが見世物のように女子の間を回っていく。
机の下から気づかれないように手渡ししている。
「こら!そこうるさいぞ」
やべーばれた?
と思ったが女子たちはうまくごまかしている。
ドキドキドキドキ…。

「ねえかずくんさあ、レポート用紙ある?」
「え?あるけど…」
「わたしさあ、ノート忘れちゃったんだよね。一枚くれる?」
トミタはその日以来毎日「レポート用紙ちょうだい」と頼んでくるようになった。
毎日あげてたら、200枚のレポート用紙はあっという間になくなってしまった。
僕はトミタを少し驚かせてやろうと思い、イトーヨーカドーでちょっと変わったレポート用紙を探した。
「レポート用紙ちょうだい」
トミタがいつものように声をかけてくる。
ふふん、今日の用紙はいつもとちょっと違うぜ。
と思いながら、おもむろに机の中から紙を取り出し、トミタに渡す。
「え〜、何これ?こんなのもらっちゃっていいの?」
「トクダ〜、かずくんがこんなのくれたよ〜」
「いいなあ私にもちょうだい」
周りの女子に配ったらすぐに無くなってしまった。
あとでよく見ると、それはレポート用紙ではなく、レターセットの便箋だった。
どうりで高いレポート用紙だと思った…。

そのうちトミタには「糊貸して〜」とか「鋏貸して〜」とか言われるようになり、いつのまにか僕はクラスの道具貸し屋になっていた。
あの子も「糊貸して〜」と言ってくるようになったのが嬉しい。
頼まれるとあの子だけ特別に、席のそばまで持って行った。
「かずくんならなんでも持ってるよ」という話しはクラス中に広まった。
僕もそれに答えるべく、色々なものを学校へ持ち込んだ。

次回予告
授業中僕の後頭部になにか当ります。
「何だよ〜」と後ろのフジタに文句を言いますが…。
第八話 ケシカス