青春編

第十四話 告別式

登場人物紹介 首都高速用語解説

前回までのあらすじ…。
社会人になって久しぶりにガイトと再会しました。
ある日ガイトのお母さんから電話がかかってきましたが…。

青春編とは…?
学生時代のことについて書いていきます。

1994年

「カズユキが…、カズユキが…」
ガイトのお母さんは、電話の向こうで泣いているようだった。
「落ち着いてください、ガイトに何があったんですか?」
ガイトのお母さんは泣きながら語り始めた…。
ガイトは今までずっと胃が痛いのを我慢していて、ついこの前我慢ができなくなり両親に打ち明けたそうだ。
そして今日両親の勧めで病院に行くことになり「じゃ、病院に行ってくるよ」という最後の言葉を残して病院へ行き、検査の結果そのまま入院、数時間後に帰らぬ人となったという。
死因は胃潰瘍だった…。

「告別式はいつですか?」
「明日通夜で、明後日です」
「必ず行きますので気を落とさないでください」
ガイトのお母さんは泣きながら電話を切った。
ガイトのお母さんを励ます言葉が見つからなかった。
それより、ガイトは本当に死んだのだろうか?

教育熱心な両親が一人息子のガイトを育てて都内でも有名な進学校へ進ませ。
ガイトは公務員試験を受験して見事現役合格。
1年間の寮生活と研修を終えて、ようやく税務署に勤めることになったのだ。
税務署では激務に追われ、そのストレスが胃に来たのだろう。
旧大蔵省の父からすれば自慢の一人息子だったに違いない。
お母さんが泣いて電話をしてきたということは、息子の死を実感しているから涙が出たのだろう。
僕はいまいち信じられず涙が出なかった。
「このCD聴けよ」とでかいガイトが来そうな気がした。
僕は所長から休みを取り告別式に出ることにした。
買ったばかりの礼服を友達の葬式のために着るなんて…。
結婚式で使いたかったな。

江古田の斎場には国税局の職員が大勢詰め掛けていて長い行列ができていた。
僕からしてみればこいつらにガイトが殺されたとしか思えなかったので、僕独りが浮いた感じだ。
いったいこの中で何人がほんとにガイトの死を悲しんでいるのだろう?
1千人を越える行列は斎場をまっ黒に埋め尽くした。
「ガイトを返せよ…」と僕は一人一人に言いたかった。
香典は受け取らない方針なので、胸にしまってそのまま焼香へ向かった。
お坊さんの読経が響き、ガイトのお母さんが泣いているのが見えた。
友達代表でヤンケが弔辞を読んでいて、僕は焼香を済ませた。
出棺の時、霊柩車がプーっとクラクションを鳴らしてガイトを乗せて火葬場へ出発して行った。

ガイトの死は未だに実感できない。
BO0WYや岡村孝子のCDを聴くとあいつのことを思い出してしまう。
しかし、どうやらガイトはもうこの世にはいないようだ…。
もしガイトと話すことができたら「親を泣かすな!」と叱るつもりだ。

次回予告
ちょっと横道にそれましたが、舞台は再び中学2年に戻ります。
類は友を呼ぶ?修学旅行の班分けをしました。
第十五話 ダメンズチーム