韓国編

第四話 工事代金の行方

登場人物紹介 首都高速用語解説

前回までのあらすじ…。
居酒屋を改築した僕は、その居酒屋で働くことになりました。
泥棒に入られたり、好きだったむつみさんが自殺未遂したり…。
いろいろなことがありました。
そんな中、店長代理を任された夜に韓国からの留学生、玉ちゃんと仲良くなり好きになってしまいます。何度かデートをして義兄妹の契りをして、恋人になりますが玉ちゃんは居酒屋を辞め、韓国へ妹のお見舞いのために帰ることに…。
そして日本に戻ったら湯河原で生活することになっています。
もう会えないかもしれない?
不安な日々を送る僕です。

韓国編とは?
韓国へ旅行に行ったときのお話しです。読んで字の如し…ですね。

2000年4月15日(土)
以前、W建設の社長(A氏)がお店のお金を勝手に引き出して、業者への支払いに充てていることが発覚して以来、店長はお店の売上金を別の口座に入金するようにしていた。
だからA氏は、怒って工事代金を支払うよう、何度も店長に迫っていた。
店長によると、それは脅しに近いものだったという。
それ以来店長はA氏を信用しなくなり、工事代金の支払いが滞っていた。

2人の関係について、約2年前までさかのぼらなくてはならない。
店長もA氏も元々大商グループの社員で、店長は「949」という居酒屋チェーンの芝大門店や自由が丘店の店長をしていた。
余談だがその下で働いていたのが、上野君というわけ。
なんの因果かその頃、僕は自由が丘店で何度かデートをしている。

A氏は不動産部門の担当で、チェーン店を回って改築工事や、補修工事を行っていた。
もちろん店長になった経験もある。
そんな二人は店長会議で何度か顔を合わせるうちに、意気投合し夢を語り合った。
しかし店長は、雇われ店長では自分の店も持てず、一生こき使われて死ぬことを悟り、大商グループを退職し、北海道の留萌の実家へ帰ってしまった。

A氏は残っていたが自ら居酒屋チェーンを作り、沖縄で生活することを夢見ていた。
まず最初にA氏は、同僚を何人か引き連れて、大商グループを退職。
K興業に入社した。
それでS建設を退職していた僕が純に誘われ、K興業に入社した。
主なメンバーは、A氏、オカさん、純、僕の4人で他に社長もいたが、僕は一度も会ったことが無い。
A氏は夢の実現のために1999年夏に北海道へ行き、店長に会う。
A氏には資金が無かったので、店長に資金を出させてチェーン展開をしようという考えだった。
白金台にある「anbai」という居酒屋を改築し終えて、A氏はいよいよ夢の実現のために1号店を出店することを決めた。
A氏、オカさん、純、僕の他に、店長、チーフも加わりW建設という会社を立ち上げた。
自動的に僕はK興業を退職しW建設に入社したことになった。
その場所は赤羽。
今のよliやがそうだ。
店長の資金500万円で工事が進められたが、途中で資金が無くなり、工事業者には店が開店してから店の売上金をA氏が支払っていたらしい。
店長とチーフはお店ができると、KFTという別の会社を立ち上げW建設から独立した。
でもKFTはW建設のグループに入っているようなものだった。
僕がよりやに転職した頃、W建設は仕事がなくなり、資金繰りにかなり困っていたらしい。
だからA氏は毎日のように、店の売上金を引き出して、工事業者に支払ったり、自分の会社の資金に充てていた。
店長は売り上げが湯水のように無くなり、酒屋さんや関西有線への支払いが滞っていることが分かると、別の口座を作って工事代金はA氏に支払われなくなった。
このときから店長とA氏の関係がおかしくなってしまった。
A氏は店長に工事代金を支払うように毎日のように電話をかけた。
それは日増しにひどくなり、脅迫めいたものになっていったという。
店長が国民金融公庫からお金を借りようと、相談に行きあと少しでお金が借りられるようになる時に、A氏は国民金融公庫に電話してよりやの悪口を散々言って、お金が借りられなくなってしまった。
店長はますますA氏を疑い始める。
そこで店長はW建設グループから脱退することを考えた。
当然これにA氏は猛反発。
W建設によりやは2,300万円の工事代金を支払わなければ脱退できないという条件を出してきた。
店長はそれは高すぎるとして、支払うことができないでいる。
さらに問題を複雑化させているのがA氏が店の売上金を使い込んだ額が約600万円にのぼり、店長はそのことにものすごく腹を立てていた。

ずいぶん前置きが長くなったが、そういうわけで今日、店長、チーフ、会計士、僕の4人で話し合うことになった。
話し合いの結果、W建設とよりやは口約束だけで、契約書を交わしたわけではないので、よliやは常識的な工事代金を支払うことに決まった。
そして、店長は一つの作戦を考えた。
W建設のA氏を怒らせ、よりやの営業妨害をさせて、警察に捕まえてもらい、工事代金をチャラにするという作戦。
しかしそれは失敗する可能性が高いので、会計士が帰った後、3人で工事代金をあといくら払えばいいか相談した。
改築費用に1,000万円かかっているとして、店長の資金も含めて600万円使い込んでいるから、W建設にはキリのいい500万円を支払うことになった。

「あ、もう14時だ。玉ちゃんに電話しないと…」
僕は「14時に電話かけてね」という玉ちゃんの言葉を思い出した。
かず:「昨日チーフにつきあってるよって言ってたけど?」
玉ちゃん:「え?私たちつきあってるんでしょう?」
かず:「ん?まあそうなんだけど、僕は付き合ってくれって告白したこと無かったからさ…」
玉ちゃん:「気持ちは通じ合ってるよ」
かず:「そうだね。ありがと…。ところで昨日はなんで電話かけてきたの?」
玉ちゃん:「あ〜一緒に帰って食事をご馳走してほしかった。だからわざわざ、かずさんがよりやを終わる時間を選んで来たよ〜」
かず:「え?そうだったの?あ〜ごめ〜ん、失敗した」
玉ちゃんは昨日、よりやに来たいから来たのでは無く、僕に会うためによりやに来たのだ。それが分かると僕の心臓は高鳴った。

玉ちゃん:「私に何も言わないで帰ったから心配したよ!」
かず:「ほんとにごめん!」
僕は昨日のことを思い出す。
よりやを出るときに「それじゃ帰るから…」と玉ちゃんに告げたら、玉ちゃんは寂しそうな顔で「帰る?」と聞き返していたのだ。
こんなに僕のことを思ってくれていたなんて…。
僕はあの人にふられて以来、恋愛に臆病になっていたが、そろそろ本気で恋愛しようと思った。そして本気で玉ちゃんを好きになっていく自分を感じた。
今まではあの人を忘れるために、玉ちゃんを好きになるよう努力していたのだが、それは間違いだったようだ。それは、玉ちゃんに対してとても失礼なことだ。
玉ちゃんの僕に対する思いに応えなければいけないと思った。
今日、僕はマジ(本気)で玉ちゃんが好きになった。
そして明日、僕は湯河原の玉ちゃんの家に遊びに行く約束をした。
赤羽の寮のときは、4人で住んでいたが、湯河原の寮は一人だという。
よりやのゴタゴタを忘れることができるかな?
その晩、僕は不安と期待でなかなか眠ることが出来なかった。
カクテルを作ろう! その21 フレンチカクタス
カクテルグラスを用意します。
シェーカーに氷とテキーラ40ml、ホワイトキュラソー20mlを入れます。
シェイクした後、カクテルグラスに注ぎます。

「ナツメ社 カクテル300」には載っていませんでした。

次回予告
玉ちゃんの新しい寮へ行くことになり、僕らは教会で礼拝をしました。
第五話 初めての湯河原