韓国編

第三話 逆走君ふたたび

登場人物紹介 首都高速用語解説

前回までのあらすじ…。
居酒屋を改築した僕は、その居酒屋で働くことになりました。
泥棒に入られたり、好きだったむつみさんが自殺未遂したり…。
いろいろなことがありました。
そんな中、店長代理を任された夜に韓国からの留学生、玉ちゃんと仲良くなり好きになってしまいます。何度かデートをして義兄妹の契りをして、恋人になりますが玉ちゃんは居酒屋を辞め、韓国へ妹のお見舞いのために帰ることに…。
そして日本に戻ったら湯河原で生活することになっています。
もう会えないかもしれない?
不安な日々を送る僕です。

韓国編とは?
韓国へ旅行に行ったときのお話しです。読んで字の如し…ですね。

2000年4月13日(木)
パスポート申請を終えた帰りに、池袋東口のJTBへ行ってみた。
なぜJTBかというと以前S建設で行ったサイパンがJTBのツアーだったからだ。
一人で初めての海外はやはり信頼できる大きな代理店がいいと思った。
フライトの日に代理店が潰れたなんて話しも良く聞いていたので…。

店内をウロウロして、思い切って店員に話しかけてみた。
パスポート申請中でもチケットの予約ができるそうだ。
それから話しはとんとん拍子に進み、出発は5月8日(月)に決まった。
よりやをどうしようか頭をよぎったが、もう辞めようと思っていたので、ちょうどいいきっかけになると思い、予約を済ませてしまった。
保険は自分でいろいろ組めるやつにした。
これはサイパンに行った時と同じだ。
店を出ると僕は大きく深呼吸をした。
「さあこれから新たな旅が始まるぞ〜」

2000年4月14日(金)

かず:「店長!お話しがあります」
店長:「なに〜どうしたの〜?神妙な顔しちゃって〜」
僕と店長は奥の座敷へ入る。

かず:「5月8日(月)に海外旅行に行きます」
店長:「え〜突然だなあ」
かず:「はい、すみません。でもどうしても行きたいのです」
店長:「そうか、じゃあ誰か君の代わりに新しい人入れて、君が帰って来たときには働く場所が無いかもしれないよ」
かず:「はい、かまいません。僕は辞めるつもりです。でも忙しかったらいつでも声をかけてください。帰国したらよりやによります」
店長:「お!洒落かい?よりやによるって…。まあそんな店だから待ってるよ」

夜になり、湯河原から玉ちゃんがお客としてやってきた。
カウンターに一人で座る玉ちゃんは輝いて見えた。
チーフと何か話している。
時々「アハハ…」という玉ちゃんの大きな笑い声が聞こえてくる。
そして、店内を忙しく歩き回る僕と時々目が合う。
玉ちゃんが僕のことを気にしてくれているようで嬉しい。

チーフが料理に集中すると玉ちゃんは暇そうになった。
だから僕は仕事の合間に倉庫から僕の自叙伝のようなことを書いた手紙を取り出し、玉ちゃんに渡した。それは封筒の中に30枚ほど入っていたので、ちょっと大きい。
玉ちゃんは手紙を読むのが大好きだと前に言っていたので、それならばと特大の手紙を用意したのだ。

チーフ:「お!何それ?」
玉ちゃん:「これは恋愛の手紙だよ、私たちつきあってるよ」
チーフ:「え〜!なんだ〜がっかり」
チーフは(奥さんいるのに)玉ちゃんのことが好きだったようで、かなりしょんぼりしてしまった。
僕はちょっと得意げになる。
そして、僕たちの仲がオオヤケになった瞬間僕は顔を赤くする。
ドキドキドキ…。
胸の鼓動が早くなる。
急に恥ずかしくなり、玉ちゃんに「もう帰るから」と訳の分からないことを口にした。
玉ちゃんは「もう帰る?」首をかしげる。
僕は寂しそうな玉ちゃんの顔には気づかずに店を出てしまった。

そして携帯に祈る。
「玉ちゃん…。本当に僕の事がすきだったら心配して電話かけてきてくれ!」
僕は何度も携帯に祈った。
でも着メロは鳴らなかった…。

ああ、俺しつこいから嫌われたのかなあ。
たぶんこれでいいんだ。
また悲しい思いをするのはごめんだよ…。

自宅に着いてご飯を食べ終え、携帯の画面を見てみると「着信アリ」になっている。
予感は的中していた。
玉ちゃんからだった。
しかも2回も…。
僕はすぐにかけなおす。
だけど、何度かけてもつながらない。

ああ、今度こそ本当に嫌われた。
「つきあってるよ」と玉ちゃんが言っていたのは本当の気持ちだったのだろうか?
そんなことを考えると胸が苦しい。

21時。
やっとつながった〜。
やっぱり挨拶をしないで帰ったので心配したそうだ。
なんだか急に玉ちゃんに会いたくなってしまった。
車を飛ばして、湯河原まで行きたい…。
でも湯河原は赤羽より遠かった。
玉ちゃんがよりやに来たいから来たのではなく、僕に会いに来るためによりやに来たのだということを知ったのは、翌日のことだった。
僕がもう少し、僕と玉ちゃんの関係に自信をもっていれば、こんなすれ違いにはならなかったはず…。
今までは板橋の自宅から赤羽だったのに、今では自宅から湯河原へと遠くなってしまった。
この後、この距離のために僕は苦しみ、僕らがすれ違い始めるということは予想できなかった。
この日から僕らの歯車はギシギシと音を立てて軋み始めた。
カクテルを作ろう! その20 テコニック
トールグラスを用意します。
テキーラ45ml、トニックを8分目まで入れます。
ステアした後、生レモンをグラスの縁にかけて出来上がりです。

「ナツメ社 カクテル300」には載っていませんでした。

次回予告
お金関係は問題がこじれる原因です。
店長は警察を利用するとんでもない作戦を考えました。
あ〜もうこんな会社やだ…。
第四話 工事代金の行方