第八話 用賀PA

登場人物紹介 首都高速用語解説

前回までのあらすじ…。
父の会社を辞めた日に東池袋の会社に勤務することが決まった。
マリさんの美脚に一目惚れして会社に来るのが楽しくなる。

1991年9月24日(火)曇りのニュース
☆大型景気「いざなぎ」を超す。
かつてない空前の好景気。この頃はまだバブルと呼ばれていませんでした。
しかしちょうど3ヵ月後に政府が景気後退宣言をします。

「おはようございます」
「おはようかずくん」
今日からマリさんの顔を見れるのが嬉しく思える。

k主任が撮った写真をプリントするために本社へ向かう。
中原街道を走って、本社に着くと「建設業界のドン」という感じの社長がいて初めて挨拶をする。
「初めまして、今度雑司ヶ谷基地に配属されました。よろしくお願いします」
「君が新人かね〜、しっかり頼むよ〜」
と社長にポンポンと肩を叩かれる。
うひゃ〜緊張するなあ。

事務所にはこの前来た時にはいなかった人たちがいて挨拶をする。
K主任はナグラさんと喋って僕は話を聞いている。
これで半日が潰れてしまった。
奥沢の商店街へ行き金物屋でチリトリ、ホウキ、バケツ、ポリ容器の蓋を次々にハイエースに入れて、購入する。掛け取引なのでお金は払わない。
月末に本社がまとめて払う仕組みで便利だ。
伝票に自分の名前をサインすると、仕事してる〜という実感がある。

次にトクエ写真という写真屋へ行きフィルムを現像に出す。
仕上がった写真があるので受け取って代金を払うとコニカのフィルムを無料で2ダースくれる。どうやら「フィルムをただであげるからうちの写真屋で現像してね」ということらしい。
環八を走って東名高速にぶつかったら右折して、しばらく行くと用賀PAの通用口がある。一般車は入れないが門を開けてスロープを登っていく。
狭い駐車場に出ると用賀PAで、目の前に料金所がある。
東名からの車がひっきりなしに来ていて騒々しい。
インフォメーションセンターが上にあり、トイレが下にある中規模のPAだ。
駐車場を掃除しているのは定年を迎えた日本人のようだ。
挨拶をして僕等は下のトイレへ向かう。
点検写真と清掃写真を撮って上の駐車場へ戻る。
詰所があるのだが、今まで見てきた物置のような詰所ではなく、しっかりした作りだった。昔は料金所の仮眠所として使われていたらしい。
中で清掃員のサイトウさんに話を聞くと、朝のゴミ出しが大変らしい。
通行料が多いので、朝来るとゴミが溢れているという。
このPAの清掃がどれだけ大変なのか切々と語り、他のPAと時給が同じなのが不満らしい。でもここを掃除できるのは自分しかいないと思っているらしく、「まあしょうがないんだけどさあ」が口癖だった。
K主任によるとPAの中では一番きれいでまじめに掃除をしているそうだ。
他のPAもこんなふうにしたいと愚痴をこぼす。
やっぱり日本人はまじめに働くんだなあ。
サイトウさんの待遇をなんとかしてあげたいと思いながら渋滞の3号線を基地へ戻った。

第九話 初月給

次回予告
2日間分の給料を初めてもらう。その金額は?