第三話 面接

前回までのあらすじ…。
父の会社を辞めた日にハローワークで仕事を探す。
面接を行うので東池袋の会社へ行くことになった。

1991年9月18日
ハローワークを出て、首都高速5号池袋線の高架に沿って歩いていく。
SSで左に曲がると、ここが池袋か?と思えるほど寂しくなってくる。
東池袋の地下鉄の出入口を過ぎると、東京で唯一の路面電車が「チンチン、ゴーー」と走り抜けて行く。
さらに進むと、ますます寂しくなり。会社があるのか不安になってくる。
やがて、目印の白い建物が見えてきたが「まさか高速の下に会社があるわけないよな」と思い通り過ぎようとすると、一人の男性が入口に立っていて手を振っている。
近づくと「K君だね。こっちに入って」
と言われ高架下の怪しげな建物に入る。
分かりにくい場所なので、僕を待っててくれたらしい。
「よほど人が足りないのかな?それにしても高架下なんて…」
外の薄暗い雰囲気と違い中は、意外と明るかった。
築2,3年といった感じ。
事務所を過ぎて、奥のテーブルのある部屋に案内されて席につく。
履歴書を用意して待っていると、30代と40代の男性それから先程案内してくれた男性が入ってきた。

挨拶をして、「こちらが履歴書になります」と言って履歴書を渡す。
30代男性:「ほう、特技が階段登り?」
「はい、学生時代に駅の階段で足を鍛えたものですから」
30代男性:「得意なスポーツが登山、取得資格が書道3級にそろばん準2級?」
「はい、登山は趣味で最近始めました。書道とそろばんは小学生のときのものです」
今思えば恥ずかしいことばかり履歴書に書いていた。
30代男性:「他に資格を取る気はあるかね?」
「はい、前の会社で毒物取扱の資格を取ろうと思っていました」
30代男性:「前の会社はどんな仕事でした?」
「板金塗装の会社でした」
30代男性:「じゃあ車のボディーとか塗れるの?」
「いえ、そんな大きいものは塗れなくて、小さいものしか塗れません」
30代男性:「…」「この仕事は駐車場のトイレの清掃もあるよ」
「はい、大丈夫です」
30代男性:「君はまだ若い!トイレ掃除をする必要は無い。週休二日は無理だが、簡単な作業の仕事をやらないか?」
「日曜日は休めますよね?」
30代男性:「もちろん、お盆と正月も休めるよ」
「はい、じゃあそちらでお願いします」

自分の希望した職種じゃないみたいだけど、
簡単だって言ってるしまあいいかと思った。
30代男性:「いつから来れる?」
僕は心の準備をしたかったので「あさってから」と言いたかったが面接の人達が「すぐに来て〜」みたいな顔をするので「明日から来ます」と答えてしまった。
30代男性:「それじゃあうちは8:30〜17:00が勤務時間だから明日からよろしく頼むよ」
「あの〜お昼ご飯はどうすればいいでしょうか?」
30代男性:「近くに食堂と弁当屋があるよ」
社員食堂があるかと期待したが、やはり小さな会社なのでそれは無かった。
家に帰り両親に仕事が決まったことを伝えると、「そう」と一言だけ呟いた。
僕は少しずつ大人への階段を登り始めた。

第四話 初出社

次回予告
仕事が決まりいよいよ社会人としての第一歩を踏み出すことになった。
自宅から会社に着くまで初めての電車通勤を体験する。
ああ〜憧れのサラリーマンにやっとなれた!