幻想編

第九話 オクリオオカミ?

登場人物紹介 首都高速用語解説

前回までのあらすじ…。
宴会をむつみさんと一緒に担当しました。むつみさんって意外といい人です。

幻想編とは…?
居酒屋で働いていたときのことについて書いていきます。

1999年12月18日(金)

今週はずっとパントリーの仕事ばっかり…。
生ビールをジョッキに注いだり、カクテルを作ったり、次から次にオーダーが入ってパニック常態。
「え〜と、熱燗、黒生、シャルドネ(ワイン)、ジントニック、かあ」
「あれ?この熱燗を作る機械おかしいぞ?」
「あ〜早く黒生入れないと〜」
「あ、店長〜大変ですよ〜」
店長:「お!だいぶ慣れてきたみたいだね〜がんばってよ〜ファーストオーダーのビールから先にやってよ〜」
かず:「あ〜もう忙しい忙しい…」
上野:「ソルティードッグお願いしま〜す」
かず:「え〜このくそ忙しい時に?注文したの誰だよ〜」
店長:「おいおい、いくら忙しくてもお客様に文句を言うのは良くないよ」
かず:「あ、そうですね。すいません。今の聞こえて無いですよね?」
かず:「塩つけるのがめんどくさいなあ」
むつみ:「かずさ〜ん、ピノノワールのワインクーラーお願いします」

むつみさんかわいいなあ。
なんて見とれてる場合じゃない。
かず:「店長、ワインクーラーってどうやって作るんですか?」
ワインクーラーは大き目の器に水と氷を入れてワインを冷やすためのもの。
僕はワインクーラーというカクテルがあると思って大恥をかいてしまった。
まだまだ奥がふかいぞ、居酒屋家業。

僕は苦労のかいあって注文どおりドリンクを出せるようになった。
店長:「がんばったね〜信じられないくらい上達が早いよ〜、パントリーはもう完全に任せられるね」
かず:「えへへ…、そうですか、ありがとうございます」
よ〜し、将来は居酒屋でもやるか〜。建築の勉強したから自分で改築できるし、サービス業のノウハウもだいだい分かってきた。
(…とすぐ調子に乗る「かず」)

金曜日の居酒屋は特に忙しい、大勢のお客さんがやってきて、やっと0時に最後のお客さんが帰り、皿洗いやフロアの掃除で1時半までかかってしまった。
むつみさんが最後まで一緒にがんばってくれた。
(もしかして僕に気をつかってくれたのかな?)
むつみ:「あ〜もう終電に間に合わな〜い」
かず:「僕も終電無いから、タクシーで送るよ」
むつみ:「え〜ほんとですか?嬉しい〜」
店長:「それじゃあむつみを送ってくれる?すまないね」
かず:「いえ、帰り道同じ方向みたいですから」

僕とむつみさんは着替えて店を出ると、通りかかったタクシーをつかまえて乗り込んだ。
むつみ:「私、かずさんが店長になったら、下で働きたいなあ」
(え?これってもしかして愛の告白?)
かず:「へ?そ、そう?ありがとう。お世辞でも嬉しいなあ」
むつみ:「お世辞じゃないですよ〜、だってあのメンバーの中で一番仕事やりやすいんだもん」
(僕はだんだん胸が熱くなってきた。)
むつみ:「私の家のほうが近いでしょ?」
かず:「うん」
むつみ:「タクシー代もったいないからうちに泊まって行けば〜」
かず:「え?」

(若い男女が二人きりですることは?)
(いかんいかん、俺は何を考えているんだ…。)
むつみ:「うっそぴょ〜ん」
かず:「なんだ〜」
むつみ:「アハハハ…、かずさんのびっくりした顔おもしろ〜い」
かず:「コラ!大人をからかうもんじゃないぞ!」
むつみ:「でももっと仲良くなったら…ね…」
(むつみさんの笑顔がとてもかわいい。)
(あ〜もう理性がぶっとびそうだ。)
むつみ:「あ、運転手さんここでいいです。じゃねかずさん、また楽しく仕事しましょ」
かず:「うん、またね」
そう言ってむつみさんはタクシーを降りて帰って行った。

むつみさんがいなくなった車内は急に寂しくなってくる。
そしてこの感じは?恋?好きになっちゃった?
ふとサイフを見ると、3千円しかないことに気がつく。
僕は、むつみさんへの思いと、タクシーメーターにドキドキした。
あ〜むつみさん?メーターがやばい!
このドキドキはいったいどっちなんだ〜?
結局僕は自宅から数キロ手前の見次公園でタクシーを降りた。
暗い夜道を「最後がセコくてかっこ悪いなあ」と思いながらトボトボと歩き、30分かけて自宅へ戻った。

注:送りおおかみ(送り狼)
女性に親切らしく振舞いながら、送って行く途中で害を加えようとする男。
カクテルを作ろう! その3 ソルティードッグ
ラージサイズのグラスを用意します。
まずグラスの縁を、濡れたきれいな布巾の上に斜めに置いて、グラスを回転させて湿らせます。
次にお皿の上に塩を適量撒き、先ほど湿らせたグラスを同じように斜めに傾けて置いて、グラスを回転させます。
すると、湿ったグラスの縁に塩が付着します。
あとはウォッカを45、グレープフルーツジュースを八分目まで入れてステアすれば出来上がりです。

恋人同士で入店したときに男性が注文して、女性に飲ませる人が多いです。
彼女:「きゃ〜、何このカクテル?素敵〜」
彼氏:「おいしいから飲んでみて」
彼女のほうは、素敵なカクテルを知っている彼氏にメロメロ(死語?)。
おためしあれ…。
むつみさんとはますますいい雰囲気。
思わせぶりな台詞もあって、少し本気になる?
ともかく働き始めてわずか2週間で、仕事をマスターして心強い味方もゲットしました。
むつみさんと今後どうなる?そして玉ちゃんは?

次回予告
1999年12月31日(金)で次の日はいよいよ2000年です。
店長はミレニアムイベントを企画しましたが…?
第十話 ミレニアムイベント