幻想編

第十九話 義兄妹

登場人物紹介 首都高速用語解説

前回までのあらすじ…。
居酒屋を改築して、その店で働くことになった僕。
私生活では泥棒に2度も入られますがその泥棒は捕まりました。!
好きだったむつみさんが自殺未遂をしてしまいました。
気になる女の子のお嬢様との恋はあっという間に終局してしまいます。
玉ちゃんとはプライベートなお別れをしました。
陳さんとお酒を飲んでいるうちに、話題が変な方向へ…。

幻想編とは…?
居酒屋で働いていたときのことについて書いていきます。

2000年3月19日(土)
(前回、陳さんとお酒を飲んでいるところからの続き…)

閉店の時間になり、一般のお客は帰って行った。
仕事を終えた玉ちゃんが僕の隣に座る。
僕の腕と玉ちゃんの腕が触れ、ドキッっとした。
なぜ玉ちゃんが隣に来たのかは分からない。
しかし、嬉しいことだけは確かだ。
陳さんの目に僕らはどのように映っているのだろう。
目をやると陳さんは口をあんぐりと大きく開けて、目が点になっている。
陳:「あれ?もしかして二人つきあってる?」
かず:「さあ、どうなんでしょうね」
僕は玉ちゃんの顔を見た。
玉ちゃん:「さあどうでしょう?」
玉ちゃんも僕の顔を見た。
アハハハ…。
僕らは店じゅうに響き渡るくらい大笑いをした。
かず:「陳さんこのことは誰にも内緒だぜ…」
陳:「分かりました。玉ちゃん好きです。愛してます。結婚してください」
かず:「お前、言いたいこと全部言ってどうする!それになんでそうなる?」
日中韓の三角関係になってしまった。

僕は玉ちゃんのほうを向いた。
かず:「玉ちゃんどうする?」
玉ちゃん:「そうですね〜。私はかずさんが好きで〜す」
かず:「ごめんな陳さん」
陳:「私、これから銀座のビアホールで仕事だから帰るよ」
かず:「わるいね陳さん、俺は玉ちゃんが好きなんだ」
陳さんは帰り際「がんばれよ〜」と僕らにエールを送って帰って行った。
かず:「え〜ゴホン!邪魔者はいなくなったことだし…。玉ちゃんは向かいの席に座ってください」
「はい」と不思議な顔をして玉ちゃんは僕の向かいに席を移動した。
かず:「何が飲みたい?」
玉ちゃん:「コーラ」
お酒を勝手に飲んだら店長に怒られるので、玉ちゃんはそう答えた。
このお店では店員ならソフトドリンクは飲み放題なのだ。
かず:「ちょっと待っててね」
僕はコーラとウーロンチャをグラスに注ぎ席に戻る。
コーラを僕の前に置いて、ウーロンチャを玉ちゃんの前に置く。
玉ちゃん:「これ何?」
コーラではなくウーロンチャを置かれ、玉ちゃんはまたも不思議そうな顔をした。

かず:「え〜ゴホン!それではただいまより、義兄妹の契りを行います」
僕は恋人よりも親密で、婚約者でもない関係を作るにはどうすればいいか、ここ数日考えていた。それで出た答えが兄妹になるということだった。
血はつながっていないので、義理の兄妹になるのだが、杯を酌み交わすことによって、血のつながりも付けようと思った。本来は酒を用意すべきなのだが、アルコールがあるのと無いのとの違いだけだし、それは無視することにした。

玉ちゃん:「はい」
玉ちゃんはびっくりしたのかきょとんとしていた。

かず:「つまり、この儀式が終わった後、僕と玉ちゃんは兄妹になりま〜す」
玉ちゃん:「え〜ほんと〜?嬉しい!」
かず:「ではかんぱ〜い!」
玉ちゃん:「かんぱ〜い!」
グラスをカチンと鳴らせて、僕はコーラを半分ほど飲んだ。
玉ちゃんはウーロンチャを全部飲み干そうとしている。

かず:「ストップ!ストップ〜全部飲んじゃダメ〜」
玉ちゃん:「え?そうなの?」
かず:「今度は僕のを飲んで」
僕らはお互い飲みかけのコーラとウーロンチャを交換した。
かず:「それでは再び…、かんぱ〜い!」
玉ちゃん:「かんぱ〜い」
僕はウーロンチャを最後まで飲み干し、玉ちゃんはコーラを最後まで飲み干した。
玉ちゃんの遺伝子が僕の体に吸収されていく…。
兄妹なら離れ離れになっても、心はつながっている気がした。

かず:「玉ちゃん好きだよ…」
玉ちゃん:「私も好きです…」
僕らは店長がレジ締めを終えるまで見つめ合った。
カクテルを作ろう! その13 ロングアイランドアイスティー
ロンググラスを用意します。
ウォッカを10ml、ジン10ml、テキーラ10ml、赤ワイン10ml、
ホワイトキュラソー10ml、ガムシロップ1tsp入れて、コーラをグラスの八分目まで入れます。
カクテルのエッセンスがギュギュッと凝縮されているようなカクテルです。
これを頼む人はそうとうな欲張り?
多くの種類を10mlずつ入れるので、作るのは大変でした。
注文が入ると、店員からは「おお〜!」という歓声があがり、パントリーは大忙しになりました。「ナツメ社 カクテル300」には載っていませんでした。
この日、僕と玉ちゃんは正式に恋人同士になりました。

次回予告
友達の純から去年の玉ちゃんの面接のことを聞きます。
玉ちゃんとは最後の居残りをしました。

幻想編は残り少しで完結します。今まで応援ありがとうございました。
第二十話 セクハラオヤジとモーニングコール契約