幻想編

第十五話 決戦の日とお嬢様

登場人物紹介 首都高速用語解説

前回までのあらすじ…。
居酒屋を改築して、その店で働くことになった僕。
私生活では泥棒に2度も入られる波乱ぶり!
好きだったむつみさんが自殺未遂をしてしまいました。

幻想編とは…?
居酒屋で働いていたときのことについて書いていきます。

2000年2月14日(月)
バレンタインデー。午前8時。
僕にとっては、決戦の日だ。
といっても、チョコをもらうために勝負するのではない。
昨年11月の勤労感謝の日、今年1月成人の日の3連休明けに泥棒に入られたことは忘れられない。2回の泥棒侵入に共通しているのは、3連休明けということだ。
そこで次に泥棒が入ると予想したのが、今月建国記念の日の3連休明け、2000年2月14日(月)だ。
裁判になったときに、完全勝訴にするため、僕の部屋の天井付近にビデオカメラをセットする。証拠映像だ。
体に防寒服を着て、右手にエアーガンのスコーピオンを装備、左手にプラモデル用のカラースプレー、玄関に角材を置いた。
窓と玄関の鍵を開けて、僕はトイレに隠れる。
いつでもOKだぜ〜カモ〜ン!
泥棒め早く来い、叩きのめしてやる!
でも向こうが包丁とか持ってたらどうしよう…。

僕は、泥棒との対決に備えてシミュレーションしてみた。
まず泥棒が窓から侵入。
部屋を物色し始める。
証拠映像を自動で撮る。
泥棒が、他の部屋を物色しようと、台所に来たとき、待ち伏せしていた僕がスコーピオンで一撃。泥棒がひるんだら、カラースプレーで目潰し、タックルして泥棒を倒す。
玄関の角材で、動けなくなるまでボコボコにする。(過剰防衛?)
風呂場に閉じ込めて、警察を呼ぶ。
数日後僕は、警察から感謝状をもらい、新聞にも載る。
よしよし、災いを転じて福となす。
これでヒーローだぜ〜。
しかし、1時間たっても泥棒はやって来ない。
「ヘイヘイ!カモ〜ン!泥棒ちゃんどうしたの?」
「シ〜ン」
結局泥棒は来ず、12時になり何事も無かったかのように家族で昼飯を食べた。
俺、何やってんだろ…。

2000年2月18日(金)
よliやの向かいに第一機材という会社があって、今日はそこの宴会の日。
いつもランチに来てくれている気になる女の子もその会社に勤めているらしいということが最近分かった。
来てくれるかな〜?と思っていたら、来てくれた〜。
「お待ち申し上げておりました〜」
と僕は心からお迎えした。
時は流れ…。
酔っぱらった彼女が、僕に絡んできた。
彼女は僕に抱きつくように倒れた。
ドキッドキッ…。
「前から君のこと気になっていたんです」
なんてことは絶対言えないけど嬉しいなあ。

女の子:「旦那!」
酔っぱらってろれつの回らない彼女の言葉があまり聞き取れません。
かず:「ハイ?段々?」
ワハハハハ…。
座敷は大爆笑。宴会が盛り上がってくれて嬉しいけれど、ちょっと恥ずかしい。
女の子:「ち・が・う!ダ・ン・ナって言ったの〜〜〜!」
かず:「あ、そうだったんですか〜」
女の子:「ねえ、トシいくつ〜?」
かず:「いくつに見えますか?」
女の子:「21歳…」
かず:「ちがいま〜す、28歳です」
女の子:「え〜〜〜〜〜!」
彼女は口に手を当ててとてもびっくりしていた。
かず:「僕が旦那だったら、あなたをなんてお呼びすればいいのですか?」
女の子:「ん〜〜とね〜、お嬢様〜」
かず:「じゃあ今度からランチのとき、お嬢様お待たせいたしましたって言いますね」
女の子:「アハハハ…おもしろ〜い、ありがと…」
酒の席とはいえ仲良くなるきっかけができて良かった〜。

2000年2月21日(月)
ゴホゴホ…。
ちょっと風邪気味。
ランチにお嬢様が来てくれた〜。
僕は彼女がトイレに行った帰りを待ちぶせ、昨日用意しておいたカセットテープを渡す。
かず:「お嬢様こちらをどうぞ」
女の子:「え?くれるの?」
かず:「はい」
女の子:「ありがとう。嬉しい」
彼女の笑顔が見れただけで僕は幸せだった。
でもお嬢様の名前ってなんだろう?
名前も知らない女の子とのありもしない妄想が膨らんでいく。
彼女が転勤したと知ったのは、これから数日後だった。
僕の儚い恋は、冷たい北風に吹かれて飛んでいってしまった。

2000年2月22日(火)
よりやでいつものように働いていると、親から連絡があり泥棒が捕まったそうだ。
川口の焼肉屋で食い逃げしたところを警察に捕まり、犯行を自供したという。
お金に困った末のあっけない幕切れだった。
盗まれたものはすべて換金され、何も無いということだ。
ああ〜悔しい!この手で捕まえたかった〜。
怒りの矛先は弟に向けるしかなかった。

2000年2月23日(水)
風邪が悪化して、よりやをお休み。
玉ちゃんから手紙がきた。

かずさんから葉書がくるとは思ってもみなかったんですね。
どうもありがとう。
毎日大変でしょう、店のこと…。
でもいつもマジメそうな顔で頑張っているのを見るのも楽しみです。
うらやましいっていうか?
とにかく互いに自分の夢に向かって頑張りましょう。
玉ちゃんより。

う、嬉しい〜。
風邪でダウンしていた僕は、この手紙でかなり勇気付けられた。
今は夢のことより、体を良くすることが大切だ。
なんだか急に玉ちゃんに会いたくなった。

2000年2月24日(木)
父がよliやを辞めて、父の会社に来いと言う。
僕の体は風邪(たぶんインフルエンザ)でボロボロなので、意思がぐらつく。
よliやを辞めたら玉ちゃんと会えなくなるよ〜。

2000年2月25日(金)
よliやに大きな封筒が届いた。
「禁過大期待」と書いてある。
余計に期待しちゃうよ〜。
前回は誕生日にブリーフのパンツと、エ○ビデオ、フカキョンのグラビア写真、マッサージ機とユーモアたっぷりのプレゼントが送られてきた。
今回はハンドクリーム、佃煮、貝殻、きつねの人形だった。
愛の詰まったあの人からの手紙が、風邪でボロボロの僕に沁みてくる。
店長に「風邪で休んですみませんでした」と謝ると。
「自己管理が甘い!」と怒られる。
1日12時間も働いて月給12万だぜ〜。
体がおかしくなってあたりまえだっつ〜の!
あ〜あもうよりやなんか辞めて1週間、山に行こうかな〜。
カクテルを作ろう! その9 エピソード
ロンググラスを用意します。
ウォッカを45入れて、ブルーキュラソー10、カルピスを10、レモン果汁を小さじ2杯、ソーダをグラスの八分目まで入れます。
いろんなものが混ざっているので、作るのが大変です。
忙しい時に注文が入るともうパニックです。
奇しくも風邪でダウンしているときに、玉ちゃんとあの人から手紙が来ました。
どちらも嬉しい〜。元気がでる〜。

次回予告
待ちに待ってた玉ちゃんとのデートの日がやってきました。
玉ちゃんかわいいなあ。
第十六話 カラオケで初デート