| 第五章 リアリティ を作りだす |
| 1 リアリティは文体によって作られる |
| 山田太一氏のエッセイ「車中のバナナ」を参考にする。 本当のことよりも嘘のほうがリアリティを感じる。 すごい体験をした人であっても嘘のように感じられてしまう。 文体を工夫してリアリティを出す。 |
| 2 リアリティを演出するテクニック |
| 始めは2,3のテクニックを身につける。 |
| 具体的に詳しく描写する |
| 詳しく描写することによって、読み手はその現場にいるように感じる。 描写がないと情景が思い浮かばない。 リアリティを出すためには、起こったことを目に浮かぶように詳しく書いて、読んでいる人が想像できるようにすること。 「懐かしかった」「楽しかった」と抽象的にまとめるのでなく、どのように懐かしかったか、どのように楽しかったかを具体的に説明する必要がある。 |
| 意識して現在形を使う |
| 目に見えるようにするために、現在形を使う。 過去形にすると、いかにも過去のすでに終わった出来事のように感じられる。 現在形を使うと、目の前でおこなわれているかのように感じられる。 |
| 他の人が気づかない細部を描写する |
| 普段は気づかないちょっとした小さなものの色、匂い、音などを描写する ローカルな話題を用いることによって、リアリティを作る。 |
| 読み手に発見させるように書く |
| すべてを書き手が語ってしまうと、読み手は信用しなくなる。 描写から推測。 人物を観察。 人物の内面を理解してもらう。 |
| 目の前で動いているおように書く |
| 動きのない情景を描写しても、読み手は退屈きわまりない。 まさに今動いているように書いてこそ、読み手をひきつけることができる。 |
| このような花だった。⇒花が揺れた。 このような服を着ていた。⇒汗にまみれた服を脱いだ 疲れて歩いた。⇒疲れきって、足を引きずりながら歩いた。 疲れて歩いた。⇒うつむきながら口もきかずに歩いた。 このように「疲れ」という抽象的なものが具体的になる。 |
| 会話体を採り入れる |
| 人との会話だけでなく、自分が考えたことも、ときにカギ括弧を用いて書くと、リアリティが出て、なおかつ読みやすくなる。 |
| ときに自らを省みる |
| 文中に自己反省を加えて共感してもらう。 人と違ったことを書きながらも、それを少し反省し、「もしかしたら、自分は間違っているかも」「もしかしたら、自分は滑稽に見えるのかも」といった視点がほしい。 |
| 遊びを加える |
| クライマックスでは無駄を省いて本題に終始するべきだが、そこに入る前には、多少遊びがあったほうがよい。 とくに出だしの部分に遊びがほしい。 本筋からちょっとはずれることを書くことで、リアリティを増す。 |
| 思い切って省略するところは省略する |
| 素人のの文章でとく陥りがちなのは、何から何まで書いてしまおうとすることだ。 ある出来事の初めから終わりまで、すべてを書こうとする。 ところが、どこに焦点があるのかわからなくなってしまう。 そんなとき、きっぱりと省略してしまうのも、上手い方法。 |
| 3 誇張や口語体も使い方しだいでリアリティを増す |
| 意識して誇張する |
| 現実というものは、えてして面白みがない。 だから、現実をそのまま書いていたのでは、面白くするのはむずかしい。 多少の誇張をまじえ、メリハリをつけ、ドラマ仕立てにしてこそ、読み手の心をひきつけられる。 ユーモアを帯びさせようとするとき、自分をある種の道化に仕立て上げるのもうまい方法だ。 どれほど自分がかっこ悪かったのかを誇張して描いてみせるわけだ。 そうすることで、目の前にかっこ悪さが見えるようになり、リアリティが増すわけだ。 |
| 「チョッピリ悪い心」を書き入れる |
| いくらきれいごとを書いても、読み手はしらじらしさしか感じない。 友人がグランプリをとって、私も嬉しかった。⇒ちょっぴり嫉妬を感じたが、それを抑えて、おめでとうを言った。 誰でも感じるような、しかし、あえて口に出さないような「ちょっぴり悪い心」を書くと良い。 |
| 口語体を入れる |
| 地の文に、筆者の生の声を入れる。 その声は、きれいごとではないちょっぴり悪い心を書くものであるほうが、効果は大きい。 |