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エクアドル人のFIFA主審モレノ(中国名:莫雷諾)暗殺事件の誤報に関して、中国における誤報の流れを時系列的に整理してみました。
中国でのモレノ銃殺情報の流れ
A. プロローグ
- ◎華体網:大洋網=足球報(6月21日)
- イタリア駐在特約記者「モレノが韓国役人と接触か?イタリアが徹底調査を要求」
- ◎『体壇周報』(6月24日)
- 特約記者「マフィアがモレノを威嚇か?」イタリアのタブロイド版新聞。イタリアマフィア1億ドル損失。300万ユーロの懸賞金。
B. “モレノ銃殺”という衝撃ニュースが流れるが途中でデマと分かる
- ◎上海熱線(6月27日10:28)
- CCTVのWebサイトのスポーツチャンネル「網友評論」欄のニュースとして伝えている。
- 情報源はエクアドル国家テレビ局。
- ただし結びの部分で、このニュースが当局の確証を得たものでないことを記述している。
- このようなニュースがネット上で爆発的に広まる。
- ◎21CN(6月27日13:05)
- 「衝撃ニュース:イタリア・韓国戦の主審モレノが殺害か?」
- 情報源はエクアドル国家テレビ局の夜の特別報道(23日午後8時)。
- 上記の上海熱線より詳細。ただし最後の「声明」で、21CNがこのニュースの観点や信憑性に同意して いるわけではないと、わざわざ断っている。
- ◎人民網(6月27日14:26)
- 署名:花火 「"エクアドル籍主審が殺害"−純然たる捏造
されたデマ」
- 人民網の編集部がただちにエクアドルの現地メディアに問い合わせたところ、捏造された
デマであることが判明。
- ここから流れが変わる。
- ◎21CN(6月27日15:42)
- 人民網と同じ
- ◎東方網(6月27日17:15)
- 「ヒマ人が偽のニュースをでっち上げる:マフィアがモレノを銃殺」
- 東方網の編集部が確認を取ったところ、デマと判明。
- このニュースがネット上で伝播し、国内にかなりの影響が出た。東方網にネチズンからの電話による問い合わせが絶えなかった。
- ◎雅虎中国=ヤフー・チャイナ(6月28日06:30)
- 「"審判殺害"はデマだ」
- 記者がW杯韓国組織委員会に問い合わせたところ、事実でないと説明される。
- ◎雅虎中国=ヤフー・チャイナ(6月28日12:55)
- 「W杯組織委員会が"イタリア・韓国戦の主審員の殺害"を否認」
- 「北京青年報」から引用。
- ◎華体網:体壇周報(6月28日14:15)
- 白岩松という有名なCCTVキャスターの文。未確認情報を流したネット関係者を叱る。
- ◎東方網(6月29日10:29)
- 「モレノ死んでまた復活 メディアに警鐘を鳴らす」
- 「東方体育日報」から引用。多くのネットワークメディアがこの未確認情報を転載の形で流した。一部に、未確認情報
であるという但書を省略した業者もあった。
- W杯韓国組織委員会の説明の後、大多数のネットワークステーションはこのデマ情報を削
除した。
C. 大騒ぎのあとで
- ◎新浪=中国最大のインターネット検索会社(7月1日3:54)
- 「W杯十大誤報」(第一
位がモレノ銃殺)
- 日本東京にいる新浪記者が発信。
- 偽情報の出所はインターネット。
- ◎華体網(7月1日)
- 「2002年日韓W杯十大問題審判名簿」
- 「ネットはお前(モレノ)に"死刑"を言い渡す」。
- ◎中新網=中国新聞網=中国新聞社(7月5日10:39)
- 「モレノがインタビューを受ける」
- 7月4日に「海峡時報」から長距離電話インタビューを受ける。アメリカで休暇中。
誤報についての考察
(1) 中国では写真付きの形でネット上および新聞紙面上、衝撃的ニュースがすぐさま流れました。
しかし私の見た限り、記事の最後にはちゃんとこの情報が未確認であると注意書きされていました。
一部の業者がこの但書きを省略したケースがあったと今では総括されていますが、主要な情報メディアはやや懐疑的に伝えていたと思います。
個人的には、これを100%本当の出来事として報道した記事に出くわしたことはありません。
中国人は権威あるマスコミの報道を信用せず、むしろ口コミのほうを信じる傾向が強いといわれます。
ネット上一人歩きした情報を真実と受け取った中国人は少なくなかったと思われます。
ある時期、W杯関連のネット記事の中で最もアクセス件数の多かったのがこの衝撃的な「モレノ殺害」ニュースでした。
中国のネット社会はモレノに"死刑"判決を言い渡していたともいえるでしょう。
(2) 「アジア国際通信」の記事(7月14日、「静かに葬り去られた『審判惨殺事件』情報」)が果たして中国の誤報にもとづくものなのか。
6月27日午後に最も権威のある人民網(人民日報社)がモレノ暗殺情報をデマだと言い始めました。これを境に主としてネット上で大きくなった誤報騒動は次第に鎮静化していきます。
同記事の筆者がしかるべきWebサイトにアクセスしていれば、すぐさま誤報の可能性に気が付いたはずです。この筆者は当時タイにいたようです。
中国からの情報を鵜呑みにしたタイの中国系人の影響はなかったでしょうか。「アジア国際通信」の筆者が中国の誤報を真に受けてこうした記事を書いたというのがもし本当ならば、「中国語が理解できる人であったか」「いろいろ複数の情報を集めたか」が問題となります。イロハをちゃんとやっていれば、そのようなミスを犯すことはなかったのでは?
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