庵の裏から怪しげな囁きが聞こえてくる…。
グラグラと煮立つ大釜からは真っ白な湯気が立ち上る…。
大釜の前には真っ黒なフードに身を包んだ怪しげな人影が1つ…。ブツブツブツブツ……。
よし…最後にコイツを刻んで鍋に放り込めば…。
「何やってるんですかぁ!!」
へぶしっっ!!!
「まったく人の家の裏で…って師匠!」
いきなり何をする〜!
「何をする〜!じゃないです!何やってるんですか!こんな所で!」
何って…。
「あぁ!またこんな怪しげなナイフまで持ち出し…。」
怪しげとは失礼な〜。
これはクリスと言ってな、こう見えても由緒正しいナイフなんだぞ〜。
「こんなフニャフニャ波打っているのにですか?」
そうだぞ〜、武器としてだけではなく、何らかの儀式等にも使われているんだ〜。
だからそんな風に乱暴に扱うんじゃない〜。
「はいはい。」
まったく〜、けっこう高価なモノでもあるんだぞ〜。
「確かに精巧な細工が施されていますよね。」
そう、だから大事に扱うように〜。
「はい、分かりました。
…ところで師匠は、こんな所で何やってたんですか?」
ん?この大鍋見て分からないか〜?
「…何かの怪しい儀式ですか…?」
うんにゃ、カレー作ってた〜♪
「作るなぁ!」
鍋の中身はニンジン、ジャガイモ、肉にタマネギ…。
ホントにカレーの材料だし…。
高価だなんだと言っておきながら…料理に使ってたのか主よ!
しかも何で外で…しかもこんな大釜で…。
尚、その夜の食事はカレーだったが、その席に主の姿はなかったそうな…。
|