イヤード・ダガー   (Eared・Dagger)
イアード・ダガー
短剣
全長・20〜30センチ,重量・0.25〜0.4キログラム
イヤード・ダガーは、柄頭に2枚の円盤の付いた短剣です。

イヤード・ダガーの最大の特徴は、両刃でありながらも左右対称には成っていない事です。
鍔元で方刃がもう一方の刃に比べて幅広に作られています。
柄は細く、柄頭には小型の円盤が2つ取り付けられ、その周りには溝が彫られています。
この形状がちょうど『耳』に似ている事から、イヤード・ダガーの名が付きました。

イヤード・ダガーの柄頭に有る円盤は何も飾りで付けられている訳では有りません。
これは逆手に構えて敵を突き刺す際、この円盤の間に親指をかける為になっています。
こうして構える事で、貫通力を増す事が出来、並の鎧であれば貫き通す事も出来たとされています。

14世紀頃にヨーロッパ各地に存在したイヤード・ダガーですが、これは元々は東方起源のモノとして知られています。
それがイタリアの商人達の手によって紹介されました。

 

 

イヤード・ダガー…柄頭の形状が耳に似ているからそう呼ばれる短剣…。
決して耳を削ぎ落とすのに使われたわけじゃない。

「師匠、この柄頭って変ってますね。」
ん?あぁそれはイヤード・ダガーと言ってな〜。

「イヤード…耳ですか!?
 まさか敵の耳を削ぎ落とし、敵陣に送りつける時に…。」

待て待て待て〜〜!!なんだその恐ろしい発想は〜!!

「違うんですか?」

ちゃうわ〜!!
これはな、この柄頭の形が耳に似ているから、そういう風に呼ばれているんだ〜。
決して!そんな凶悪な事に使った短剣じゃないぞ〜!
まったく…そもそもこの短剣、切り裂く事よりも、突き刺す事を主に目的としたモノなんだぞ〜。
これの正しい使い方は…こう刃の部分が下に来るように逆手に構えてだ…。
そうすると自然に柄頭に親指を当てる事になるだろう〜?

「はい。」

んで、この2枚の円盤の間に親指をかけるとだ…。
力も込めやすく、親指が外れることも無く、中々に具合が良いんだぞ〜。

「なるほど♪ボクにも貸してください♪」

わっ!こら!引っ張るな〜!

「わっ!」

ぽ〜〜〜ん……サクッ♪

…………あ……。

「………あ……。」

ミミガ〜〜〜!!

「きゃーきゃーきゃー!!」

もみ合ううちに空へと飛んだイヤード・ダガー。
落下地点にいた主の顔をかすめ…。
イヤード・ダガー…柄頭の形状が耳に似ているからそう呼ばれる短剣…。
決して耳を削ぎ落とすのに使われたわけじゃない……はず…。
ちなみに…主の叫びは何処かの料理名ではない。

「武器と防具 西洋編」 新紀元社
「武器事典」 新紀元社